『バーフバリ 王の凱旋』原題:Baahubali 2: The Conclusion|141分|2017年|インド|監督・脚本:S・S・ラージャマウリ|原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード|主演:サティヤラージ(カッタッパ)、プラバース(バーフバリ)、アヌシュカ・シェッティ(デーヴァセーナ)、ラムヤ・クリシュナ(シヴァガミ)
初めて、発声OKの『絶叫上映』の回の映画を観てきました。
「バーフバリ2」の初日公開日に新宿ピカデリーで開催してくれていました。ホントに楽しい!最高!! どんな雰囲気なのかが、上の映像からわかります。
▽ネタバレなしから▽
「ほんと最高のエンターテイメントでした!」
マヒシュマティ王国の王位をめぐる争いの物語
ヘトヘトに疲れるほどに楽しませてもらいました。
絶叫上映の企画ありがとうございます。倍楽しめたと思います。
前作は、
・女王シヴァガミが、子バーフバリ(マヘンドラ)を命を落として救うところから始まり
・25年後、子バーフバリが、自分が王子であることを知るまでの話
・その父バーフバリ(アマレンドラ)が王位継承者になるまでの昔話
今作は、
・引続き昔話で、父バーフと妻になるデーバセーナとの出会い
・父バーフには、王位継承権があったが王家追放までになるはめられた話
・父バーフが、忠臣から殺されてしまう「死」が描かれる
・そして、現在の時間に追いつき子バーフと反政府軍で政権を奪い返す
始めから、悲しい気持ちで観ました。
1作のラストで父バーフは、殺されたことは告げらていたので、
楽しく盛り上がっても「悲劇」に向かうことを思い出しては涙しました。
でも「すげぇ!!」「かっこいい!」と唸らせられる
みえをきる「けれんみたっぷり」のシーンがたくさんで高揚しました!
バーフバリ!バーフバリ!ジャイホー!
でも、みんなで応援するけど、死が待っているんだね。涙。。
家来であるはずのスキンヘッドの「カッタッパ」が、父バーフを刺し殺す理由は?
やはり多くの葛藤があった上での行為でした。涙、涙。。
今作ではカッタッパが主人公で、1作目と違い多くの動きを見せてくれました。絶叫上映中、カッタッパを応援する声もたくさん上がりました。「来年はいぬ年だからお前の年だ!がんばれ!」ともありました。
冒頭の20分が最大に盛り上がりました。
前作を振り返るオープニングのスタッフ紹介のときの「静止画的な表現」が好きです。セリフでなく映像で説明している表現がよかったです。またセリフが少ないため、ワーワー!と絶叫しやすくて盛り上がりました。わかってますね!ありがとうございます。
前作観なくてもいいかも
前作観てない方は、今作だけでも大丈夫な作りでした。今作の内容10なら、前作は4くらいで今作が濃密でしたし全体をきちんと描きなおしてくれるのでわかりやすくなっています。ラスト子バーフの話になったときに思い入れが薄くてのれない?かもと思いますが、同一人物が父バーフ・子バーフを演じているので、引き続き思い入れはあって応援できると思います。
ぜひ、このブームに乗っかって盛り上がることオススメします^^
予告・あらすじ
伝説の戦士バーフバリの壮絶な愛と復讐の物語を描いてインド映画史上歴代最高興収を達成し、日本でもロングランヒットを記録したアクション「バーフバリ 伝説誕生」の完結編となる第2作。蛮族カーラケーヤとの戦争に勝利してマヒシュマティ王国の王に指名されたアマレンドラ・バーフバリは、クンタラ王国の王女デーバセーナと恋に落ちる。しかし王位継承争いに敗れた従兄弟バラーラデーバは邪悪な策略で彼の王座を奪い、バーフバリだけでなく生まれたばかりの息子の命まで奪おうとする。25年後、自らが伝説の王バーフバリの息子であることを知った若者シブドゥは、マヘンドラ・バーフバリとして暴君バラーラデーバに戦いを挑む。
監督・脚本のS・S・ラージャマウリや主演のプラバースをはじめ、前作のスタッフやキャストが再結集。
(引用元:新宿ピカデリーのサイトより)
公式サイト:http://shin-kansen.com/
▼ネタバレ▼
カッタッパが、父バーフを殺した理由は「女王シヴァガミの命令」
最終的にはシヴァガミが父バーフの殺害を命じたが、バーフを陥れようとしていた「従兄弟のバラーラデーバ王子」の策略でバーフは殺されることになった。
女王シヴァガミは、奴隷剣士カッタッパに「なんでも命令をきくか?」と聞き、カッタッパは「はい」と答える。だがそこで言われた命は「バーフバリを殺せ」ということ。女王の命で、バーフバリの家来として従えていたカッタッパは、女王に「今一度お考えを」と反論する。それでも変わらない女王。カッタッパは「それであれば私を殺してください」と剣を差し出す。女王は「私がバーフバリ(義理息子)を殺す」と言い、カッタッパは逡巡した後、震えた声で「わかりました。私がやります」と引き受けた。※セリフはアバウトです。
カッタッパの忠誠心がかっこいい
カッタッパは女王の犬と呼ばれている存在ですが、揺るぎない信念を持っていました。これまで命令を断ったことがないとだろうが、初めて断りました。それは女王にもバーフバリにも仕えていたので、双方を守る忠信があったのだと思います。女王からのバーフ殺害命令を断りましたが、女王自ら殺すといい出したものだから、女王の手を汚させるわけにはいかない、そこまでの思いなら、私が行くと、なくなく引き受けていました。断ればよいものを、、動き出した歯車はもう止められない!だれかがやるのであれば自分が殺してあげるのがある意味、忠信だったのだと思います。何がかっこいい行いなのか?という武士道があるカッタッパに惚れました。
従兄弟のバラーラデーバ王子のバーフに対する「妬み」がキッカケ
◆妬み1:バーフバリが次期国王に決定したことに嫉妬
【いじわる1:女を横取り】
バーフが隣国の王女デーバセーナに恋をしたことを聞きつけ、先に母(女王シヴァガミ)にこの王女と結婚したい旨を言い手配をお願いする。母/女王もノリノリで貢物を用意し、女王の名で使者を送る。だが、デーバセーナは「個人の尊厳を無視した行為」に憤り断る。
【いじわる2:女王を味方に】
小国の王女に断られた女王は「大国の命を断るのか!」とむきになり、ちょうどその国にバーフがいることを知り「王女をひっ捕らえろ!」と命を出す。だが、王女デーバセーナは「囚われの身」ではなく「バーフバリの婚約者」としてなら行くという
【いじわる3:王位継承の権利をはく奪】
女王は、デーバセーナが言うことを聞かないことに腹を立てる。息子と約束したこともあり。デーバセーナは、「バラーラと結婚しない。バーフバリと結婚する。」というので、「バーフバリお前はどっちを取るのだ!?」と投げかける。バーフバリは、デーバセーナとの結婚を取り女王の命を聞き入れない。それを受け、女王はバーフバリの王位継承の権利をはく奪する。
◆妬み2:バラーラは戴冠式で自分が国王になったことを国民に披露した。その後に発表した「国防総司令官」に就任したバーフバリへの声援が大きいことに嫉妬。バーフバリへの殺意が芽生える。
【策略1:国防総司令官の役職を奪う】
戦場ではなく、最近身重になった妻の近くに居たほうがいいだろうと、バーフから役職を奪い、ポンコツ男に引き継がす。
【策略2:ポンコツ男に対して腹を立てさせる】
デーバセーナ(バーフ妻)は、ポンコツ男が自分の役職を傘にセクハラをしている場面に遭遇し怒り、その男の指を切り落とす。※バラーラの想定内かわからないが、衝突が起こることを計算して、ポンコツ男を任命したのだと思います。
【策略3:裁判で王家から追放】
指を切った件で裁判が行われる。その途中バーフが、身重のデーバセーナを手錠をかけひっ捕らえていることと、パワハラ/セクハラの事実を知り怒り、裁判の場でポンコツ男の首を斬る。法律を守らないバーフに、王女は「王家からの追放」を命じる。
●妬み3:追放されたはずのバーフが普通に国民と楽しく生活していることと、みんなの信望を集めていることに嫉妬。殺す!気持ちが強まる!
【策略4:殺害理由を作る】
そこで考えたのは、デーバセーナ(バーフ妻)の親族の男をはめる計画を練る。その男だけに「バラーラがバーフを殺そうとしている」会話を聞かせる。そこに「バーフを救うためにバラーラを殺さないといけない!協力してくれ」とそそのかし、逆に罠にはめ殺す。「バーフがバラーラを殺すために妻の親族を暗殺者として送り込んだ」という事実に仕立て上げる。
【策略5:女王からカッタッパにバーフ殺害の命令】
上記の事実を作り、バーフ殺害が必要だという方向に仕向け、女王から命令を下してもらう。カッタッパの忠誠心を利用する。
【策略6:カッタッパを処刑する情報を流し罠にはめる】
火あぶりにされそうなカッタッパ。(カッタッパは、本当に火あぶりにされそうだったので、バーフ殺害の命令を受けても行動を起こさなかったのかもしれない。ここ日本版ではカットされてるのかも。)。案の定、バーフは一人で助けに来る。生まれる子を初めに抱き上げることをカッタッパにお願いしていたバーフはその約束を守るために来た。だが、罠で多くの矢が雨のように降り、バーフはカッタッパをかばいいくつもの矢が刺さり瀕死状態。だがそこからでもカッタッパを守るためにバーフは奮起し敵を倒し続ける。敵を倒し一段落したところ、背後から「カッタッパの剣」が腹を刺し抜く。バーフ死亡。
死を知っていたかのように受け入れたバーフバリ
剣を引き抜き、バーフを泣きながら抱きかかえるカッタッパ。バーフは一言「母を頼んだぞ」と言い、横になっていた体を起こし石に腰かけ絶命する。カッタッパはバーフ王子としての敬意を表し、悲しみの表情の中、剣を右手に持たせ、頭を下げる。
カッタッパの決意
カッタッパは女王のところに戻る。泣いているカッタッパ。そして、手に着いたバーフの鮮血を、女王の手にこすりつける。「あなたの息子(義理)が死の間際、言い残したことは、あなたへの慈悲でした。」の旨を伝え涙し嘆く。カッタッパは、父バーフに変わり、子バーフを守り、バーフバリ家の復活のためにどんなことでもすることを決意していた。だが、子バーフばりの消息がわからなくなってしまう。
それから25年、
消息がわからなかった「子バーフ」がカッタッパに合うことで自分の生い立ちをしり、また「王妃である母が囚われている」事実を知り反政府軍と一緒に、マヒシュマティ王国に攻め入ることになる。それを手助けするカッタッパの姿がかっこいいラストでした。
カッタッパにキュンキュンしちゃった!
という友達の声。これわかりますね。
道化師役のときもあったし、心を一番乱されるのは彼です。
それでも忠信を見せます。男らしいし、愛らしい。
好きになっちゃいます。
テーマ曲:Saahore Baahubali(サホレ バーフバリ)
女性の人権の尊重がテーマ
の1つでしょう。嫁をもらうには、王の命で貢物を送れば良いというような時代設定で、女性は道具として扱われていました。だが、「王妃デーバセーナ」は、人としての尊厳を傷つけられることを怒り嫌いました。性別も出自も差別しないし、自分を大切にする強さも持っていました。それはまるで、マッドマックスのフェリオサのようにかっこいい姿や振る舞いでした。この王妃デーバセーナの信念を貫いた行動によりすべての物語が動き激動が生まれました。シヴァガミ様は命を捨てて子バーフを助け出しました。これはバーフへの愛情もありますが、デーバセーナの言動が彼女の心を動かしたのだと思います。そして、ここからの
デーバセーナ25年間幽閉生活
は、とても苦しいものです。それでも彼女は信念を貫いていました。本当に男らしいです!(ここではジェンダーのことは言ってません)。復習をするために、相手を燃やすための「枝拾い」を25年続けます。すごい執念です。一切信念を曲げること無く生き抜きました。息子も戻ってきました。おめでとう!
常に1番になれない、バラーラ家の悲劇
祖父バラーラ(初代国王/祖父バーフの兄)は、2度王になる機会があったがなれなかったのだと思われます。そのため、王になれなかったコンプレックスを持って生きてしまいダークサイドに落ちることになりました(左腕が不自由なことも拍車をかけているようです)。その親のもとに育った「父バラーラ」もまた、義兄弟の「父バーフ」への劣等コンプレックスを膨らましていきました。たとえ自分が王になっても「民の心を掴んでいるのはあいつだ!」と劣等感を膨らましていました。
きっちりと子に愛情を注いでほしかったです
妬み、恨みの心が強く、息子を真っ直ぐに愛することができなかったのだと思いました。シヴァガミ様も国政に忙しくなり、子育てから離れてしまったのだと思います。また、シヴァガミは国の存続を考え、実子に王位を継承するのでなく、腕力・知力ともに力のある者に王位を譲ろうと考えていました。国のためにはその方がよいですが、自己愛が足りていない息子は、「なぜ実の子を選ばないのか!?」と母を恨んだのだと思います。さらに、「母が愛したのは義兄弟のバーフなのでは!?」とまで思ってしまっていたのだと思います。今の自分、ありのままの自分を引き受けて、他者を讃えることができる人になってほしかったです。
以上、
このように
「バーフ家・バラーラ家が三代にわたって王位争奪争いをする大河ドラマ」
です。
まだネタバレ仕切れていません
スターウォーズのような大河ドラマが好きな方にオススメです。
ぜひ、インド映画の先入観なしに観て欲しいです。
「サイリウム」の他に、「王を称えよ!カード」「マヒシュマティ王国のマークのバッジ」いただきました。ありがとうございます
バーフバリ1作目のダイジェスト
関連:
・ バーフバリ1の感想はこちら>
・ 映画評論家 宇多丸さんのTBSラジオでの評論(好きだという熱がこもってて観たくなる!)>
Leave a Reply