映画『イレブン・ミニッツ』感想ネタバレ|思わせぶり群像劇

2015年 ポーランド・アイルランド映画|上映時間 81分|監督: イエジー・スコリモフスキ 出演者: リチャード・ドーマー、ヴォイチェフ・メツファルドフスキ、パウリナ・ハプコ|ベネチア国際映画祭 生涯功労金獅子賞受賞

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▽ネタバレなしから▽

ヒューマントラストシネマ渋谷で観ました。

「イレブンミニッツは評判だ。」と宇多丸さんのラジオでも、僕モテPodcastでも言われていたので行ってきました。

結果、私には「そんなに」はまらない映画でした。主人公の多い群像劇で、いろんな登場人物に感情移入していって「どんなクライマックスが起きるの!?」とハラハラドキドキとしていたのですが、終わり方には肩透かしをくらったと感じました。

群像劇の映画では「11:14」が謎もあり、おもしろ要素もあり好きです。

予告・あらすじ

心から信じられる話になるか、逆にまったく信じられない話になれば心強い。──イエジー・スコリモフスキ

カンヌ、ベネチア、ベルリン三大国際映画祭の主要賞を制覇したポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキの最新作がついに日本上陸! ベネチア国際映画祭W受賞の『エッセンシャル・キリング』から5年、巨匠スコリモフスキの最新作は、彼のこれまでの作風を一新したともいえる驚愕のリアルタイム・サスペンス。

午後5時に始まり5時11分に終わるこの映画は、大都会に暮らすいわくありげな人々の11分間のドラマをモザイク状に構成した、監督初の群像劇。78歳という高齢ながら、斬新な音響表現とCGも使用した魅惑的な映像。コミュニケーションの不在や不条理な現代社会を表現した、観客誰もが想像し得ないラスト・シーンは本作最大の見どころ!(引用元:ヒューマントラストシネマ渋谷のサイトより)

公式サイト:http://mermaidfilms.co.jp/11minutes/



▼ネタバレ▼

しょうもないことで、ビルから人が落ちて、その影響で路上の車が大爆発!!それでおしまいの映画

登場人物14人ほどを「何かが起きるぞ!」「誰が事件を起こすの!?」と思わせぶりたっぷりで個々に描きます。映画の8割の時間を使って主人公たちを描きます。そして、下記のクライマックスになります。これがしょうもない引き金で事故が起きます・

  1. 妻を寝取られまいと、妻と男がいるビルに殴りこんでいく夫
  2. 消火器で壁をぶち破る夫。その拍子で消火器から泡が漏れる。
  3. 夫は、「妻を抱きかかえた男」をベランダに見つけ走り寄る。
  4. だが夫は、消火器の「泡で足を滑らせ」その勢いで男にぶつかる。
  5. その衝撃で「男がビルから落下」だが、たまたまいた窓ふき業者のゴンドラに乗る
  6. 助かるか?と思ったが、ゴンドラごと落下
  7. 下にいた、救急車に落下し爆発!
  8. 通りかかったバスが巻き込まれ、バス大爆発!!

そして、爆破の衝撃で「妻もビルから落下」死亡。

結局、夫は妻を助けることはできなかっただけでなく、大爆発を起こすことになります。それも大勢を巻き込み、死亡者が出る大事件に発展させてしまいました。14人中、10人ぐらいがこのクライマックスの爆発に巻き込まれたり、近くにいたりしてました。

というように、夫婦と寝取ろうとした男の3人しか事件に関係なく、また、痴情のもつれからの争いでもなく、「滑って落下」という小さな事故がきっかけだったのが残念に感じました。どんなドラマチックなことがあるのか?と求め過ぎました。ある意味ここを大きく裏切られたのは面白いとも思います。

群像劇かな?と観ていくと、やはりその通りで多くのキャラクターの描写があり、感情移入していったのですが、クライマックスに関わったのは3人。他の人はたまたま近くにいて巻き込まれたり、現場の近くにいただけで巻き込まれてもいなかったりに終わりました。ここまで映画を観てきた時間はなんだったの?と思っちゃうような展開に唖然となりました。裏の裏をと言われればそうだが、他の登場人物にもきっちり、こちらが感情移入していて待ってたのに悲しくなりました。

これが心地よいか嫌悪するか、好き嫌いがはっきり分かれる内容と思います。

回収されない伏線多数!

思わせぶりな描写が多く、以下の謎の伏線は謎のまま回収されません

  • 旅客機が低空飛行」でビルの近くを飛んでる! 3.11!? 墜落!?
  • 空に「謎の黒い物体」が!UFOか!?宇宙人が何かを起こす!?
  • いじめられている少年が発見する「首吊り死体!」だれ??
  • 壁伝いに流れてきた液体が逆再生のように壁を上っていく「未知の液体金属!?」宇宙人がらみ?

など、これらをどう本筋に絡めてくるのか?期待していましたが、からまず。うまくからめてほしかったなぁ。裏切られた感あります。「足を滑らせた」ことがきっかけのクライマックスに、これらの要素も含めてほしいと思いました。

伏線回収にそんなにこがわりが無い方におすすめ

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